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文房具の歴史として前回のシャープペンシルに続いて「のり」につい
て語ってみたいと思います。
糊という文字は「かゆ」の意味もあり、旧字の「かゆ」(米ヘンが食
ヘンになった文字)から転じて出来たと言われています。
糊の発生時期
は不明ですが、おとぎ話の「舌切り雀」に登場してくるくらい古くから
使われていたわけです。
国内では、古来から膠(にかわ)や漆(うるし)などの粘着性のある
ものが使われていましたが、江戸時代中期に澱粉質を原料とした「姫糊」
が普及していまいた。
明治中期頃までは、この「姫糊」(澱粉性のもの
を水に溶いて煮た糊)が多くの用途に使われていました。
糊は固体糊と液体糊に分けられますが、液体糊は現在は合成樹脂系が
主流となっています。
固体糊の「姫糊」は、桶をかついで売り歩く姿も
あったといいます。
当時の「姫糊」は腐りやすく買い置きができなかっ
たため、使う時に容器(茶碗のようなもの)を持って使う分だけを買っ
たといいます。
そこで、腐らない固体糊(半固体糊ともいう)の開発を
行ったのが東京の木内弥吉氏(現ヤマト(株))のヤマト糊と大阪の足
立市兵衛氏(現不易糊工業梶jの不易糊でした。
不易糊は1896年、ヤマト糊は1899年にそれぞれ腐らない糊を
発売しています。
しかし、当時としては高価なものでした。
糊の原料は
澱粉ですが、澱粉を大別すると地上澱粉と地下澱粉に分けられます。
地上澱粉としては、米澱粉、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉などで、糊に
は小麦澱粉が多く用いられています。
小麦粉の澱粉は生麩と呼ばれ、
15%位の蛋白質グルテンが含まれているので、それを除去し、精製し
て糊用の良質澱粉を作り使用します。
地下澱粉には、馬鈴薯、甘藷、タ
ピオカ澱粉などがあります。
良い糊の条件としては @接着力が大きいこと。
A粘着力が大きいこ
と。
B速乾性であること。
C伸展性のあること。
D品質不変のこと。
E
副作用のないこと。
F無色透明なことが上げられます。
液体糊は、明治
40年頃、イギリスからステペンスの瓶入ゴム糊が輸入されています。
1919年(大正8年)に国産の液体糊が開発されました。
底太の瓶の
口にスポンジや海綿が付き、アルミのキャップを取りはずして下に向け
ると液体糊が染み込んで手を汚さずに糊づけができる便利な製品として
発売されました。
この液体糊が普及した背景には、1923年(大正
12年)の関東大震災の後、物資不足から切手の裏面に糊の塗っていな
い切手が発行され、液体糊が家庭や事務所で注目、愛用されるようにな
りました。
当時、原材料のアラビヤゴムはインドから輸入されており、
日本が大量にアラビヤゴムを輸入するので、何に使うのかと調べられ、
インドへも輸出されていた液体糊の原料だとわかってインド人もびっく
りだったようです。
今では液体糊はほとんどが合成樹脂系になっています。
この合成樹脂
の普及から、口紅タイプの固形糊やテープ糊も開発され、現在のように
多種多様な「のり」が発売されています。