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ハンコに関するアンケート調査

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークの導入が広がり、内閣府、法務省、経済産業省は、6月19日付けで、「押印についてのQ&A」という名称の資料を公表し、「契約書に押印は必ずしも必要ない」という見解を示しました。
 9月に発足した菅義偉新内閣では、河野太郎行政改革担当大臣が9月23日に「デジタル改革関係閣僚会議」で行政上の手続きにおける「ハンコ」の廃止を求めました。24日付けで全府省にハンコの廃止を文書で要請するも、同日のツィッター投稿で、「行政の手続きにハンコはやめようと言っているのであって、ハンコ文化は好き」と強調されています。フォロワーの「いいね」の数は4.4万件を超えています。決裁や契約書類への押印を見直す動きは加速していますが、御朱印や落款印、卒業証書の学校印などは日本独特の文化として今後も存続されますし、書や日本画、絵手紙の落款印など、趣味のハンコの需要もあります。
 そこで、不要論の盛り上がりで注目を集める「ハンコ」について文房具屋さんドットコムの読者はどういう見方を示しているのか、アンケート調査を実施、その結果、「ハンコ文化を残すべき」と思っている人が半数近くに達することが分かりました。
 アンケート調査は、今年7月1日から31日までの1カ月間実施、有効回答数は957件。
 


 アンケートの質問内容は、@日常、ハンコを使いますか?Aハンコは、日本の文化と言われますが、ハンコ文化を残すべきと思いますか?Bハンコは、どこで最も良く使いますか?C職場でのハンコ決裁についてどう思いますか?D家庭でのハンコの使用について、最も良く使うシーンは?などを聞きました。
 その結果、@の日常、ハンコを使いますか?については、「たまに使う」が38.2%で最も多く、次いで「良く使っている」36.0%で両方合わせると74.2%となり、日常の生活において、ハンコは欠くことのできない生活道具となっています。

 また、就労者を対象に集計すると、「良く使っている」が43.9%、「たまに使う」が33.33、合わせて77.2%となり、職場での使用は更に高いです。

 Aのハンコ文化を残すべきと思うかどうかについては、「残すべき」が46.6%で半数近くを占めますが、「無くすべき・なくても良い」が20.9%、また、「どちらでも良い」27.2%という結果で、「残す派」と「なくても良い派」は、半々と言ったところです。

 Bのハンコをどこで最も使うかについては、家庭が48.7%、職場が46.1%で、家庭と職場での使用頻度はあまり変わりません。


 Cの職場でのハンコ決裁については、「電子決裁をすべき」が45.1%で「ハンコ決裁は残すべき」は28.2%でした。また、就労者に絞って集計すると、「電子決裁をすべき」は1.5ポイント増の46.7%、「ハンコ決裁を残すべき」も1ポイント増えて28.2%となり、全体的には、仕事の効率化のためには、電子決裁をすべきと思う人が半数近くを占めて多数派です。
 Dの家庭でのハンコの使用シーンでは、「荷物の受け取り」が60.3%を占めますが、今回のコロナ禍により宅配業者によっては、受け取りハンコが不要のところや、玄関や受け取りBOXなどでの置配も増えており、今後は、荷物の受け取りでの、ハンコ不要が加速すると考えられます。
 「ハンコは必要」の声では、「ハンコ文化は日本独自のもの。そこが良い」「ハンコが好き。無くしてほしくない」「ハンコの信頼度は・安心感は特有。代わりのものがない」「電子とハンコの両立が望ましい」。これらは意外にも若い世代の声です。若い世代にもハンコ文化は浸透しています。以下に、「ハンコは必要」と言う人の声と「ハンコは不要」という人の声を紹介します。


「ハンコは必要」と言う人の声
 ◆日本のハンコに魅了された訪日客の様子を紹介したテレビ番組を見て、ハンコは世界に誇れる日本の文化と再認識した(宮城県・パート・女性・34歳)
 ◆書類などを誰が確認したか、ハンコがあるからわかる(鳥取県・会社員・男性・62歳)
 ◆伝票の受け渡しの際に、商品名を表示したハンコを捺印など、ハンコは業務処理に必要(新潟県・自営業・男性・31歳)
 ◆ハンコに馴染んでいるので、ハンコが無い文化が想像できない(愛媛県・自営業・女性・42歳)
 ◆ハンコ文化は日本独自のもの。そこがいい(福島県・パート・女性・28歳)
 ◆指紋をそのままハンコのデザインにすればどうか(岡山県・自営業・男性・45歳)
 ◆手彫りの印章は大変素晴らしいと思う。ハンコの芸術的価値を多くの人に知らしめるべき(神奈川県・無職・男性・44歳)
 ◆個人の重要書類にはハンコの使用が望ましい(滋賀県・主婦・49歳)
 ◆職場では電子決済が便利だと思うが、家庭ではサインよりハンコの使用が断然便利。実用性と趣味性を兼ね備えた道具として残して欲しい(滋賀県・女性・52歳)
 ◆契約書や遺言書など、重要な書類には実印の使用が適している(愛知県・無職・男性・78歳)
 ◆最近は宅急便の受け取りの際に電子サインを求められることが増えたが、ハンコが便利(愛知県・主婦・48歳)
 ◆ハンコを文化遺産にしよう(北海道・パート・女性・44歳)
 ◆ハンコ大好き。無くして欲しくない(愛知県・主婦・46歳)
 ◆電子決済とハンコの両立が望ましい(茨城県・会社員・男性・39歳)
 ◆ハンコは成人の印でもある(愛知県・主婦・67歳)
 ◆ハンコの信頼度・安心感は特有。代わりのものがない(神奈川県・会社員・女性・28歳)
 ◆日本人が昔から使ってきたハンコ。無理に無くさなくても良い(神奈川県・会社員・男性・32歳)
 ◆日本のハンコ文化を守っていくために、家紋と融合させたデザインはどうか(栃木県・無職・男性・71歳)
 ◆電子決裁よりもハンコが便利(広島県・会社員・女性・43歳)
 ◆ハンコはサッと捺印できて便利(広島県・会社員・女性・39歳)
 ◆個性を主張できるツールの一つ(静岡県・無職・男性・67歳)
 ◆インターネット上のハンコ決済には不安がある。セキュリティーを高めても、いたちごっこだ(京都府・自営業・男性・61歳)
 ◆電子決裁に代わると、ハンコを介したコミュニケーションがなくなる(神奈川県・パート・男性・60歳)



「ハンコは不要」という人の声
 ◆ハンコの捺印は、本当に必要な手続きに限定するべき(神奈川県・会社員・男性・47歳)
 ◆手続きの種類によってハンコを使い分けるのが煩わしい(岐阜県・主婦・47歳)
 ◆決裁業務をハンコに拘るのは無意味(神奈川県・会社員・女性・42歳)
 ◆昔ながらのハンコに安心感はあるが、時代とともに変えていかないと(東京都・主婦・40歳)
 ◆仕事にハンコは不要(千葉県・パート・女性・48歳)
 ◆電子印鑑で良い(東京都・自営業・女性・26歳)
 ◆書面への捺印の必要性を感じない。自筆署名の方が効力があると思う(山口県・無職・男性・63歳)
 ◆ペーパーレス化が進めばハンコは不要になる(兵庫県・会社員・男性・45歳)
 ◆変わった苗字なので、既製品がなくコストがかかる。ハンコ文化に疑問を感じる(神奈川県・会社員・男性・59歳)
 ◆ハンコは本人でなくても捺せる。悪用される可能性もあり、無くしたほうが良い(大阪府・会社員・男性・30歳)
 ◆古き良き文化である以外、ハンコを使うメリットが思い当たらない(東京都・学生・男性・20歳)
 ◆誰もが購入できる認印に信用性はない(愛知県・教職員・男性・36歳)
 ◆3Dプリンターの出現により、ハンコの偽造も容易になっている(山形県・自営業・男性・57歳)
 ◆生産性向上の観点からもハンコは無くしていくべき(東京都・会社員・男性・37歳)
 ◆ハンコ使用は意味がなく、サインで十分(東京都・パート・男性・53歳)
 ◆簡易な書類などはサインで行えばいい(千葉県・教職員・男性・56歳)
 ◆社内決裁業務はハンコ決裁よりも電子決裁が合理的(熊本県・会社員・男性・46歳)
 ◆書類など直筆で署名するのに、わざわざハンコを捺印するのは無駄(静岡県・会社員・男性・55歳)
 ◆グローバル化時代にハンコは時代遅れ、サインへ移行すべき(三重県・会社員・女性・50歳)
 ◆サインの方が個人の特定ができ、より文化的(宮城県・男性・64歳)
 ◆ハンコがないと手続きができない場面は以前より減りつつあり、必要性を感じない(山口県・主婦・48歳)
 ◆書類の電子化には、賛成(北海道・パート・女性・33歳)
 ◆ハンコ決裁をするためにわざわざ出勤、電子承認にすべきと思った(神奈川県・会社員・男性・58歳)

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